まるこ & あおい のホントのトコロ

さらっと読めて、うんうんあるある~なエッセイ書いてます。

あおい

世の中を動かしているのは、国会議員でも官僚でもなく専業主婦だった。

専業主婦になりたかったんです。 最近立て続けに、専業主婦願望だったという人に出会った。願望だったということはそうではなかったということで、実際彼女たちは、勤続30年のキャリアウーマンだったり、自営業者の方であったりするのだけれど、専業主婦経…

かまってほしい病。

生きるのがしんどい…… 早く死にたい…… 最近実家に行くと、2回に1回は、この言葉を発するようになった90歳母。 夫を早く亡くし、去年までしていた仕事もついに体力の限界とピリオドを打ち、 今は家で一人、庭の手入れをしたりテレビを見たりしながら過ご…

オンナが褒めて欲しい時。

「変わった服やね」 あれは忘れもしない、結婚してまだ間がない頃だった。 ワンピースだったかなんだったか、はっきりは覚えていないけれど、 気に入って買った服を着て、出かけようとしているときのことだった。 夫が私の服を見て言ったのだ。「変わった服…

亀の死は、いつかどこかの私から今の私へのメッセージだった。

亀が死んだ。 次男が可愛がっていた小さなミドリガメ。 4~5年前、彼が小学校4年生の時、用水路で見つけて我が家に連れて帰って きた。 「名前、どうしよかなー」と悩んでいる次男に、「亀やから亀吉でいいやん」 と安易なネーミングを提案したのは私だ。…

「スッピンでごめん」からの卒業。

「すっぴんでゴメン……」 最近の私は、人に出会ったとき必ずこう言ってしまう。 すっぴんがまるで悪いことであるかのように。 私は今化粧ができない。 肌が荒れているからだ。 いや厳密に言うと、ずっと肌は調子よくなかった。 でも化粧してごまかしていたの…

すでに相当の自由を与えられていながら、それに気づいていなかった私

「きゃーーっつ!!」 私は大きくバランスを崩し、たった1メートル程の斜面から転げ落ちてしまった。普通の大人なら転げ落ちる方が難しいのではないかと思うぐらい小さな斜面から。 私はその時、1歳6ヶ月になる次男と一緒だった。歩くことを覚えた次男は…

オンナに振られたオンナが、苦悩の末にたどり着いた結論

「交換日記」というものを、今の若者たちは知っているだろうか? 一冊のノートにその日の出来事などを日記のように書き綴り、仲間うちで順番に回していくというもの。携帯電話がない時代に流行った超アナログなコミュニケーションツールのことである。 私は…

おばさんになって初めて気づいた私が大学に行った意味

「大学では何を専攻されてたの?」 これを聞かれるのが一番辛い。大学には一応通っていた。4年制の大学に。ところが何も専攻していない。いや、厳密にいうと専攻はあったのだ。ただ全く勉強していないというだけで。文系の大学生なんて概ねそんなものなのか…

喜べない妊婦が後悔の後に手に入れた喜び

妊婦が嫌いだった。 いや、他人が妊婦であってもそんなことは思わない。むしろ微笑ましく思う。 私は自分が妊婦である、という状態が嫌いだったのだ。 私には子供が4人いる。双子とかではないから、合計4回妊婦になったということになる。 一人につきたっ…

私という存在が彼の中から消えたとき

「ああん、足が折れた……」 「そんなすぐに、足が折れるかいな」 そいう言いながらも祖父は、「じゃあ、ちょっとそこに上がり」といって、私を小さな石段に上がらせると、背中を向けて「はい、どうぞ」という。 私は嬉しそうに祖父の背中に飛び乗る。これが祖…

私が成田離婚しなかった理由

着いた!! 成田から約15時間、やっと到着したレオナルド・ダ・ビンチ空港。 これから始まるおそらく一生に一度しかないであろうこの旅行に、私はワクワクと期待で胸がいっぱいだった。 新婚旅行にイタリア、フランスに行きたいと言いだしたのは夫だった。…

水色のクレヨンが私に教えてくれたのは、素直になるということだった。

「はーい、みんな、今からお絵描きの時間ですよ。クレヨンを出してくださーい」 先生の声掛けに、園児たちはそれぞれのお道具箱からクレヨンを取りだした。 画用紙がくばられ、園児たちは思い思いの場所で絵を書き始める。 雲一つない晴れ渡った秋の空。気持…

S婦人の奇怪な行動から見えてきたものは、認めたくない真実だった

「あっ、しまった……」 ある日の朝、娘を駅まで送り届けたあと、駐車場に車を入れようとしたとき、家の前を通り過ぎようとしていたS婦人と目が合ってしまった。 車の中から軽く会釈しながら、このまま通り過ぎてくれることを祈ったけれど、彼女は私の家の前で…

自慢の父からスケベ親父への転落、からの復活

「さあ、ウイットのきいた会話、しようぜ」「あほちゃう? このおっさん。ウイットってなんやねん? そんな昭和な言葉知らんわ」娘はすかざず夫に突っ込む。 アホと言われようが、おっさんと言われようが、にこにこして娘と会話している夫。どんだけ娘好きや…

私は始末の悪い女

「私、始末の悪い女なんです」 あるセミナーで知り合った女性とランチをしている時、彼女はこういって話し始めた。 「私ってすぐ誰とでも友達になれるの。でも、しばらく付き合っているとなんか合わないなと思う人も出てくるわけ。そうするともうあまり会い…

私が講師になりたいと思った本当の理由

講師になりたかった。 なぜ? と聞かれると理由はわからない。なんとなく漠然と、講師になりたいと 思っていた。 かといって、そのことを誰かに話したわけでもなく、自分のココロの中で密かに 思っていただけだった。 というのも、私には講師になれる要素が…

「思い込み」は加速する一方だけれど、それでも大丈夫なワケ。

「えっつ、そんなんないですよ」 「えっつ、ないの?」 「ないですよ、それ、漫画の見すぎちゃいますか?」 な・い・ん・だ。軽くショック。 私は中学、高校と6年間女子校に通っていた。 女子校だから男子はいない。当たり前だ。 本当は、公立に行きたかっ…

とあるレジ係のおばさんにいつも苛立っていた理由

「すみません、もう一枚袋ください」 「大きさは?」 「大で」 「はい、どうぞ」 私はこの会話を彼女と何度繰り返したことだろう。 家から歩いて3分のところにある大型スーパー、もうかれこれ10年以上、一応主婦だからほぼ毎日通っている。 それだけ通っ…

その話何回も聞いたと思った時の大人の対応

「その話、何回も聞いたわ」 90歳母に対して、最近この言葉を発することが多くなった。 これはお年寄りに言ってはいけない言葉だそうである。 前にも聞いた、昨日も聞いた、と言われることが大きくプライドを傷つけるらしい。 とはいえ、こっちにだって言…

スマホがなかったあのころ、たった一時間の体験で私が味わい尽くしたもの

「もしもし、山田さんのお宅でしょうか? わたし中村と申しますが、洋一さん いらっしゃいますでしょうか?」 「はい、ちょっとお待ちください」 受話器を置く音。「ああ、またお母さんだ……」 夜9時に電話するって言っているのに、いつもお母さんが出る。毎…

「老眼」とはもしかしたらとてもありがたいことかもしれない

老眼。なんというネーミングセンスのなさ。「老いた眼」って、 いったい誰が名づけたのか? もっとましな名前はなかったのだろうか? この2文字を見るたびに怒りさえこみ上げてくる。聴覚が衰えても老耳とは いわないし、腰が曲がってきても老腰とは言わな…

私が今、髪を切れない本当の理由

私は今悩んでいる。 髪を切ろうかどうか悩んでいる。 そんな悩むほどのことかと思われるかもしれないが、髪は女の命と言われるよう に、いくつになっても髪を切る時というのは悩むものである。 たとえばそれが「え? どこ切ったの?」とまわりから言われるぐ…

私以外誰も知らないわがまま娘とその家族の物語

「こんな古臭くて、和風な家は嫌やわ! 庭なんかいらんのに無駄に広いし、 収納は少ないし、和室ばっかりやし! もっと今風のおしゃれな家に住みたい!」 今から20年前、わがまま娘のK子は私を見てそう言い放った。 私は神戸の山の上に建つ、築35年の日…

学習が得意だった私が唯一学習できなかったこと

もうやめたい…… 本気でそう思った。 絶対に、やめられないことはわかっている。 でももうこれ以上無理。 かれこれ3時間以上は経っているだろう。体中が痛い。明らかに疲弊している。 それでもこの3時間の行動に自分自身が大きな進歩を感じていたとしたら、…

一生ご縁がないと思っていた「オペラ」の効用は予測をはるかに上回った

たぶん一生ご縁がないと思っていたオペラ。 私にとってオペラといえば、映画ゴッドファーザーの最後のシーンで、 アル・パチーノ演じるマイケル・コルレオーネが、オペラを見に行った帰りに 暗殺されそうになったあの場面。 オペラとは、ヨーロッパの貴婦人…

私の首を絞めていたのは、自分で決めたマイルールだった

「だってお兄ちゃんだから」 この一言の威力、私にはとてつもなく大きな壁だった。 小さいころ、ごはんやお味噌汁の出てくる順番はいつも兄が先だった。 お肉やお魚の大きさは、いつも兄の方が大きかった。 「なんで私はいつも後なん?」 「なんでお兄ちゃん…

ある現代国語の先生から学んだ言葉より効果的な教え

谷まん(たにまん)。私たちは親しみを込めてそう呼んでいた。 彼の名前は谷川先生。高校3年生の担任、教科は現代国語担当。 アンパンマンが髭を生やしたような風貌からなのか、 はたまた肉まんのようにまんまるな体型だったからなのか 定かではないけれど…

新幹線のグリーン車には目に見えない特典が付いていた。

7号車7番C。 これは、私が新幹線を利用するときの指定席の番号。 77の席と私は勝手に呼んでいる。 5年ほど前から、仕事の関係で新幹線を利用することが多くなった。 多い時には、週に2回ぐらい、往復で考えると4回ぐらい乗ることもある。 新幹線に乗…

執着が嫌いだった私が母から教わったのは執着することだった

「この度高齢のため、9月30日をもちまして廃業致すことになりました。 今までの御愛顧に感謝致します」 母が廃業した。御年89歳。 昭和34年4月に開業してから、平成28年9月まで、57年と5ヶ月間。 神戸の下町で歯科医を営み続けてきた母。 私が…

いけずババアの英語教師がくれた意外すぎるプレゼント

「グッドモーニング、ミスアオキ」 「グッドモーニング。ハウアーユー?」 「アイムファインセンキュー、アンドユー?」 「ファインセンキュー」 お決まりのあいさつで始まるミスアオキの英語の授業。 ミスアオキとは、私が通っていた中高一貫女子校の英語教…